Ccfolia Log

イッスン

教えるぜェ！

イッスン

出航だァ～～～～！！べらんめェ！！！

イッスン

「そうだ！花だ！」

そして、その音は……晶の、頭の上に。

イッスン

ちょこん、と小さな虫のようなものが佇んだ。

イッスン

「おっとォ！申し遅れちまったようだなァ！」

イッスン

「オイラは絵師の夢を目指し山を越え川を越え海……はまだ越えてねェが」

イッスン

「流浪の旅を続けてる、流離のイッスンっつーもんでよォ！」

イッスン

「なんでェなんでェ！迷い込んだ異国にゃ、べっぴんもべっぴんが多いこと！」

イッスン

「ちょいと名が知りてェって思うのが、男の人情ってやつだろォ～？」

イッスン

ぴょいん、ぴょいん、と晶の頭の上で、緑色に光るものが跳ねながら、そう提案した。

イッスン

「くぅ～～！！冷たい眼差しがまたも良し！こいつァ畔に浮かぶ蒼の花、といったところだなァ！」

イッスン

「ま、オイラのこたァ気にする必要はねェ！ただの虫が混ざったとでも思っておきな！」

イッスン

「名前が無いだァ～～～～！？おいおいおい～！晶の嬢つったか！」

イッスン

「こりゃどんな事情があるってんだァ！？名ってのは、魂だぜェ～？生き様が刻まれるってもんでよォ！それが無ェとなると、ヒトとして生きにくくなるもんだぜェ！？」

イッスン

「アンタの知り合いみてェだが、そこんところどうなんだァ～！？」

イッスン

「ん？」
ぴょいん、ぴょいん、と跳ねながら。

イッスン

「なんでィ？知り合いじゃねェのかァ～！？いやでもよォ、黄色の目が素敵な嬢ちゃんが嘘言ってるようにも見えねェんだよなァ～！」

イッスン

「おい！晶の嬢！何か思い出せるもんとかねェのか～！オイラちょっと気になりまくっちまったぜ！」

イッスン

「あ～～～～！？"何も"ォ～～！？」

イッスン

「！？　お、おいおいマジかよ！？大丈夫かァ～～！？」

イッスン

「記憶ってのは大切なもんでィ！忘れちゃいけねェもんがそこにたくさん詰まってるってもんだ！」

イッスン

「へへへっ！中々洒落た名前じゃねェか、詩人の才能でもあるんじゃねェのか～？」
晶の髪を引っ張りながらいじる。

イッスン

「まぁまぁまぁ！細けェこたァ気にするんじゃねェ～！　……それに、アレだな！」

イッスン

「ぶっちゃけると、ちんぷんかんぷん過ぎる！」

イッスン

「オイラは何が起こってんのかさっぱりだ！」

イッスン

「とは言え、『無意味』なことは人生では起こらない、オイラはそう思っていてよ」

イッスン

「晶の嬢に、クロエに、ぷりん？ってのを探してる幽霊の嬢ちゃんに、オイラ」

イッスン

「ここに十人十色の魂が集まったのも、何か『意味』があるのかもな！」

イッスン

「オイラは頭使うことは苦手だが、分からねェことを放っておくのも、女の涙を放っておくくらいにはきれェでな！」

イッスン

「晶の嬢！オイラは顔色伺うだなんて、上等な真似ができるわけじゃねェか……突っかかってんだろ？色々！」

イッスン

「ならそいつをじっくり解していこうぜェ？」

イッスン

「！？！？！？　お、おいおいおいおい！今のなんの音だァ～～～！？！？」
晶の髪にしがみつく。

イッスン

「おわァァアアア～～～～っ！！」
晶がコケたので当然イッスンも潰される。

イッスン

「……お、おいおい、晶の嬢、なんか、わかんねぇけどよ」

イッスン

「多分だが……『善意』だぜ」

イッスン

「オイラも自分で何言ってんのかさっぱりだけどよォ！」

イッスン

「……………」

イッスン

ぴょいん、と晶の頭の上にまた飛び乗って、黙るイッスン。

イッスン

「……この異国の一室、もしかしたら、オイラ達が思っている以上の、『何か』があるかもしれねェぜ……？晶の嬢」

イッスン

「こりゃ、慎重に……探ってみる必要が、あったりするんじゃねェかァ～？」

イッスン

「情けは人の為ならず、って言うしな、オイラもクロエのことは信じてェし！情けを素直に受け取っておこうぜ！」

イッスン

べっぴんな女が悪だなんて絵は、オイラの趣味じゃねェしなァ～。

イッスン

とは言え、それはあくまでオイラの思想だ。

イッスン

今一番危機があるかもしれねェのはどいつか？そりゃ決まっている。

イッスン

晶の嬢だ。
……なんかがある。虫の知らせってやつだ。

イッスン

「ま！でも任せておきな！この七代目天道太子のイッスン様がついてんだ！」

イッスン

「なんとかなるぜ！晶の嬢！」

イッスン

CCB<=90 激励 (1D100<=90) ＞ 83 ＞ 成功

イッスン

「一刀両断だな！？」

イッスン

「なんでィ！少しくれェ甘く見てもらってもいいってェのに！」
ぴょいんぴょいん、と飛び跳ねながら。

イッスン

そーだそーだー！とヤジを飛ばしている。

イッスン

「……ちぇっ、こりゃ梃子でも動かねェみたいだぜェ～？決心の硬さがまるで尋常じゃねェってもんだ、晶の嬢」

イッスン

「へへへ！そこの幽霊の嬢！ちょっくらクロエの脇でも擽って笑かしてみせようぜェ～？」

イッスン

「オイラは辛気臭い空気が嫌いなもんでな！」

イッスン

「どこぞのアマ公だってんだィ！」

イッスン

「一蓮托生になるってわけだな！どうだクロエ！それなら、勝手に逃げ出しちまうこともねェだろ～？」

イッスン

「おいおいおいそりゃねェだろ～～？」

イッスン

「晶の嬢はよォ、今一番望んでるのは開放だぜ、開放！」

イッスン

「ず～～～っとこのままにってわけにゃ、そりゃいかねぇだろ？」

イッスン

「ただクロエ、おめーさんがそれを許さねェ何かしらの事情があるってんなら」

イッスン

「まずはそいつを語るのが筋ってもんだ」

イッスン

「人の自由を奪うってんなら、相応の納得が必要だぜ？」

イッスン

「それすらも拒むってんなら！晶の嬢の案を飲んだ方が、いいと思うぜェ～？」

イッスン

「何言ってんだ……？」
素直にそう思った。

イッスン

「だ～～～～～～～～～～～！！！ぶっちゃけ何を試されてるのかも、どんな意図があるのかも、意味が分からなさすぎるし！！」

イッスン

「しかもなんだよこの問題は！！『オメェは正直か？』って質問したら、どっちも『はい』ってなるしよォ！じゃあ逆に、『オメェは嘘吐きか？』っつっても、どっちも『いいえ』になるんだろォ～～！？」

イッスン

「こいつらの『違い』なんて、正直者か嘘つきかくらいしかねェし……！でもそこで判別するのも難しくて……どうすりゃいいんだよ！？晶の嬢！」

イッスン

「ッッ……！？！あ、晶の嬢ォ！？」

イッスン

ぴょいん、ぴょいん、と飛び上がって、反応を示す。

イッスン

「！！！　答えが……バラけた……！？　そ、そうか！『違い』は、他にもあったってのか！？すげェな晶の嬢！でかしたぜ！！天下一だ！」

イッスン

「…………あ～～……？なんだァ？オメェさん、ひょっとして」

イッスン

「……遊んでほしかっただけか？」

イッスン

「おいおいおいおい～！なんだよ～～！？どういうことだよォ！？オイラにも教えてくれよ～！なぁ～！」
ぴょいんぴょいん、と頭の上で跳ねながら。

イッスン

「なんだそりゃ！　……ま、でも案外、そういうのが的を得てたりすることもあるのかもな」

イッスン

「何せ、『意味』のねェことなんざねェからな！」

イッスン

「……！？　お、おい！？晶の嬢！？どうした！？いきなり立ち止まって……」

イッスン

「黒猫ォ～？　そういやさっきの遊びでも黒猫が……って、おいおい」

イッスン

ぴょいんぴょいん！と頭の上で跳ねながら。

イッスン

「そうだぜェ～！いつまで寝てんだァ～！とっとと起きやがれェ～！」

イッスン

「へへへっ！なんでィ、晶の嬢はどうやら歩くお人好しのようだなァ！」

イッスン

「ま、だから幽霊の嬢ちゃんも憑いてんだろうな！納得だぜ！」

イッスン

「……しっかしまァ～、なんだってんだァ？」

イッスン

「無い記憶がいきなり、ちょっくらあそこにある円柱の見ただけで蘇るだなんて……」

イッスン

「失った記憶ってのは、その人にとって強烈で……何か重なるもんがねぇと、そうそう戻ってこねぇもんだって聞いたことがあるが」

イッスン

「まァ色々困惑してるとは思うが……　知らねェ方が、よっぽど恐ろしいってもんだ、まだいけるか？晶の嬢」

イッスン

「うわっ、すっげぇ素早く反応した！？」

イッスン

「てかぷりんってなんだァ～？」

イッスン

「うお……めっちゃ貪る勢いだぜェ……！？そんなに夢中になれるもんなのかァ～～！？」

イッスン

「ひっでェな！？ちょっとくらい見せてくれたっていいだろォ！？せっかくの異国なんだぜ！？」

イッスン

「来たからには、オイラの筆先に描かれる生命を増やしてェって思うのが、流離の絵師の人情ってもんだしよォ！」

イッスン

「なんだ今の……！？死神の渦潮かなんかか！？」

イッスン

「また意味深なこった！それもまたさっきみてェな問題ってやつかァ～？」

イッスン

「にしても、クロエのやつさっきからず～～～っと晶の嬢を目で追ってるぜ、むすーっとした顔のまんま！」

イッスン

「気になるなら着いてくりゃいいのによォ～！」

イッスン

「だってよ、晶の嬢　……まァ、色々気になることがありすぎて、オイラまでもが頭痛くなってきちまっているところはある……が」

イッスン

「どうにも、この部屋に晶の嬢の記憶の手掛かりがあるみてェだ、なら、まずは欠けた欠片を集めて、形にしていくのが、きっと晶の嬢にとっての為にもなることだとオイラは思うぜェ！」

イッスン

GM！激励するから再判定させてもいいか？

イッスン

CCB<=90-30 激励 (1D100<=60) ＞ 86 ＞ 失敗

イッスン

🌈

イッスン

「おいおいおい～！いきなり動きが鈍くなったぜェ！？」

イッスン

「もうちょっと頑張れよォ～！さっきまでの元気はどこへ行っちまったんだァ！？」

イッスン

「お？中々変わった服だな？こういうの着て何すんだァ？」

イッスン

「へェ～～？なんかよくわからねェけどそういうのがあるんだな……って」

イッスン

「……思い出していってるな！？晶の嬢！」

イッスン

「ほォ～～～！？そりゃ重畳じゃねェか！？やったな！！！」
自分のことのように、ぴょいんぴょいんと飛び跳ねて喜んでいる。

イッスン

「オイラも分かるぜェ～～！！これが無くちゃ画竜点睛を欠くって筆をどっか無くしちまった時、あ～～もうおしまいだァ～～！！ってなって、でもふとある時、よく探してみたら耳に掛けてあって、見つけた時はもうすんげェ気持ちいいくらいに嬉しくなるしよォ！」

イッスン

「筆もきっと、オイラに忘れてほしくなかっただろうしな！」

イッスン

「ん？おい晶の嬢！あれはなんだィ？」

イッスン

「─────……い……」

イッスン

「お　………　　！　……い　　……ぉぃ　……！」

イッスン

「おい！！！！」

イッスン

「…………大丈夫か？」

イッスン

その声は、先程までのイッスンとは違った。

イッスン

低く、小さい声だった。

イッスン

「……………」

イッスン

一寸しかない少年は、ただ黙って、二人を見やる。

イッスン

「………晶の嬢……」

イッスン

……わかんねェよ。オイラ、なんて声を掛けたらいいか、わかんねェよ。

イッスン

「─────！」

イッスン

その言葉を聞き、黙っていた、一寸の虫の如き、弱き命は。

イッスン

晶の頭部から飛び跳ね上がると、鞄から、拝借。
見慣れるものなれど、それはおそらく、紙。
N、O、T、E、なんて読めたものか分かったもんじゃない。

イッスン

しかし、弘法は筆を選ばない。紙も選ばない。

イッスン

CCB<=95 芸術(絵) (1D100<=95) ＞ 40 ＞ 成功

イッスン

『筆』を取ると。

イッスン

「おうおうおうおう！！晶の嬢！！クロエ！！！」

イッスン

「なんて陰気な顔してやがる！！！」

イッスン

「なァに花が咲きそうで咲けない蕾みてェなことしてんだィ！！！」

イッスン

「いいか！？世の理にはよォ！！ぜ～～～んぶ！『意味』があるんでィ！！」

イッスン

「……オイラもよ……オイラもよ！どうしたらいいかはわかんねぇけどよォ！！」

イッスン

「ただ一つだけ分かることはあるぜ！！！」

イッスン

「べっぴんな女に涙は似合わねェってな！！」

イッスン

「お天道様の下で！！ぽかぽかな笑顔でいるってのが、この世界で一番尊ばれるもんでィ！！」

イッスン

「さぁさぁ見てらっしゃい寄ってらっしゃい！！」

イッスン

「七代目天道太子直々のっ……！！」

イッスン

涙ぐんだ声だった。

イッスン

「とっておきの、言葉だィ！！！」

イッスン

イッスン

『一蓮托生』

イッスン

イッスン

達筆と共に

イッスン

人と、そして─────黒い猫が、手を取り合っている絵。

イッスン

涙ぐみながらも、鼻をこすって、へへへっ！と笑い。

イッスン

「……晶の嬢！まだまだ念仏唱えるにゃ早いし、それに惜しいってもんだ！」

イッスン

「九死に一生を得る為には、猫の手も、虫の手も借りたいところだろ？」

イッスン

「そして、今はそいつが全部揃ってるんだ！」

イッスン

「果たされた一日一善は、やがて花となる！」

イッスン

「─────まだまだここからだぜェ！！」

イッスン

「………ぷっ！」

イッスン

「わはははははは！！全く天晴も天晴だぜィ晶の嬢は！！それにクロエも、作ってたみてェな顔が崩れてやがるぜ～！？」

イッスン

「─────あったりめェだ！」

イッスン

「旅は道連れ世は情け、一期一会の出会いの中に、神秘は宿り、それが今、結晶として現れてるってんなら」

イッスン

「どうして『全員では帰れねェ』だなんて思い込みが、通じるってんだ？」

イッスン

「それこそ、世の理に反してやがるぜェ！」

イッスン

「想定外ってのは、常に悪いことばかりが起こるもんじゃねェ」

イッスン

「オイラに、幽霊の嬢ちゃんが紛れ込んじまった想定外が、もう既に起こっちまってんだよ」

イッスン

「何が言いてェかっていうとだ」

イッスン

「人間、やれば意外となんだってできるってことだぜ！！！」

イッスン

「─────行こうぜ、晶の嬢、それに」

イッスン

「クロエ！」

イッスン

晶の頭の上で、ぴょいん、ぴょいん、と跳ねながら。

イッスン

「もっと欲張っていこうぜ、神様も御仏様も、案外許してくれるもんだぜ？何せオイラは会ったことあるからな！」

イッスン

「おいおい、そいつは違うぜ、クロエ」

イッスン

「『意味』はこれから作る」

イッスン

「第一……だ！」

イッスン

「本当に晶の嬢を助けることだけが目的ならよォ～～！！」

イッスン

「自分の命を代価に支払ってるくらいの覚悟があるってんならよ！！」

イッスン

「黙って、嫌われ者のままどっか行っちまうもんなんだぜ……」
どこか、遠くを思い出す様にしながら。

イッスン

「……その方が、『悲しませない』からな」

イッスン

「分かってもらうのは、クロエ、オメェさんの方でもあるぜ」

イッスン

「晶の嬢は、本気だ、本気でお前のことを慈しんでいる」

イッスン

「この先も、共に生きようとしている」

イッスン

「んな晶の嬢の気持ちをにじって、『悲しい』思いをさせることが、救いになるかってんなら、そいつァオイラからすれば疑問甚だしいぜ！！」

イッスン

「そして─────」

イッスン

「『オイラ達』なら、オメェさんも助けることができる」
そう断言する。

イッスン

「『一人』だけなら、きっとそうだろうな」

イッスン

「起きるぜ、なんたってオイラは」

イッスン

「『神様』と旅をしたことがあるんだからな！」

イッスン

「神様ってのはよォ～、案外ポアっとしててよ、世話焼いてやらなくちゃ何もできねぇくれェなんだが」

イッスン

「日ノ本の国駆け巡って、信仰心に応えて花咲かせては水を湧かせては太陽を見せては、大忙しってもんで、だが、んな苦労もおくびにも出さねェやつでよ」

イッスン

「しっかりと祈りを捧げ、そして……感謝をする、オイラの知ってる神様ってのよはよ、不景気なツラしてやがるとくんくん鳴いてなぁにも出来なくなるんでィ」

イッスン

「だからこそ、いっちょ気合を入れて！信じて、信じて、信じ抜く！一人で無理なことは二人で、二人で無理なことは三人で、天に、お天道様に向け合掌し……神様だけじゃなく」

イッスン

「自分達自身も、信じるんだよ！！そこが、始まりだ！！」

イッスン

「……へへ！」
にやりと笑うイッスン。

イッスン

そして、一寸ほどしかない少年は、晶の頭の上で、天井を……いや。

イッスン

その奥を、見上げる。

イッスン

……おいおい、いつまでスヤスヤ寝てるんだ、アマ公。

イッスン

いいのかよ？

イッスン

オイラだって、分かってるぜ。

イッスン

……このまま出たら、全員御陀仏だ。

イッスン

けどよ。